春がやってくると、一斉に花が咲き始めます。
うちでは、去年は花をつけなかったラッパ水仙が大きな花をつけました。
去年は、葉っぱだけがニョキニョキと伸びただけ。
どうして花が咲かないのかなと思いながら、葉っぱが枯れた後に植木鉢から球根を掘り出しました。球根は、まあそれなりの大きさがありました。
秋になってから、その球根をまた植木鉢に植えて、今度は少し肥料を多めに入れてみました。
しばらくして、また葉っぱが出てきたんですよね。でも、年が明けて1月、2月と時間が経っても、全然花が咲かないのです。
「水仙って、1月末には咲くんじゃなかったかな?」などと思いながら、葉っぱだけの植木鉢に水をやり続けました。
そうしたところ、2月の末頃から花芽が大きくなりはじめ、ここ1週間ほどでようやく大きな花がいくつも開いたのです。
嬉しかった!
まるまる2年ぶりくらいの水仙です。鮮やかな黄色が、とても春らしくてきれい。
こんな植物を見ていると、人の心の変化もこんな風なのかなと思います。
つまり、
葉っぱだけの年だって、きっと水仙は自分のなかにエネルギーを蓄えている。次の年には、大きな花が咲くようなエネルギーを球根に蓄えているんだと思うんです。
「花」という結果が出ないから、見た目にはうまくいっているように見えません。でも、土の中では次の年に向けた準備が着々と進んでいるのです。
人の心も、変化はたぶんなかなか目に見えない。だから、自分も身近な人たちも、ついつい焦ってしまうのだけれど、見えなくても、日々小さな変化は起こっている。
見えないからと言って、焦って水をやりすぎても、肥料をやりすぎても、心はうまく育たない。
ゆっくりと変化する。その人の持つ力を信じることが大切です。
信じて待つのは簡単じゃないけれど、きっと心はそういうものなのだと思います。
常森さつき